ええ 自分は偽善ですよ(ぉ

190 mosmac 04/06/15 17:15 id:TLW/dYGx
ちょっと長くなるが吐き出させて欲しい。ここなら知り合い誰にも見つからないだろう。

両親が共働きで、どちらも他所の子供を預かる仕事をしてたもんだから逆に自分の子供には厳しかった。
近所の祖父母の家で暮らしている時間が日々の大半を占めていたもんだから、自然とおばあちゃん子になっていた。
冬場は家の風呂が寒いので、祖母と一緒に近くの風呂屋へ毎日通った。歩きながら、毎回「うる星やつら」の話を
おばあちゃんにしていた。面白い、って言ってくれてたから毎日話した。ホントに面白かったのかな?
中学、高校と思春期を過ぎても祖母とは手を繋いだりハグしたりと本当に密着して日々暮らしていた。




191 mosmac 04/06/15 17:20 id:TLW/dYGx
時は過ぎ、両親はいつの間にか海外に赴任していた。俺は日本に残り、姉と二人暮らし。
その頃、祖父は重度の癌に罹り寝たきり状態だった。祖母が自宅で介護を続けていた。
まだホームヘルパーとか介護保険とかの施行前だから、家族が看るしかない時代。
祖母はリウマチで関節痛を抱えていたにも関わらず献身的に介護に励んでいた。
日々の激痛と動けない苛立ちで神経をとがらせていく祖父。

俺たちはそれに対して何をしていたか?大学生だった俺は女にかまけてろくに家に帰らない。
たまに病院へ車で送ったりとその程度。家に戻った時に夕食を祖母の家でたべてはいたものの、
祖父の介護に関してははっきり言って我関せず、といってもいい状態だった。
祖母は文句ひとつ言わず、いつも微笑みながら食事を作ってくれていたのでそんなに
大変には見えなかったんだ。

およそ5年の闘病生活の果てに、祖父は自宅の畳の上で死んだ。俺たち皆に看取られてそっと。






192 mosmac 04/06/15 17:24 id:TLW/dYGx

葬式に合わせて海外から両親が帰ってきた。
「ご苦労さん」・・・いや、俺何もしてないし。
初七日が終わり、両親は再び海外へ戻っていった。
実家には俺と姉の二人、祖父母の家にはいまはもう祖母一人となってしまった。

「気ぃ使わんでええヨ、ちゃんと(ひとりで)できるし」
口癖のように祖母は俺たちにそう言っていた。
朝ご飯と晩飯は祖母の家で摂るようにしていたが、仕事とバイトとで俺と姉とは
コレといった家事を手伝うでもなかった。
その日の朝も、金を使い果たした俺は出かける前に祖母に無心していた。
祖母はあっさりと一万円渡してくれた。




193 mosmac 04/06/15 17:35 id:TLW/dYGx
早めにバイトを終えて実家に戻り、姉と二人でゲームをしていた。(確かFF)
夕食の準備ができれば、祖母から電話が鳴る。それで二人とも祖母の家に向かう。
それがいつもの暮らしだった。

電話が鳴った。祖母かと思いつつ取ると、これまた近所の祖母の妹からだった。
「おばあちゃんのところに電話しても誰もでぇへんねん。」
おかしいな、と思いつつ、イヤな予感がするとのことでそれぞれで祖母の家に向かった。

炊事場で祖母が倒れていた。

仰向けに倒れている祖母。蝋人形のように白く、小さくだらしなく手足を投げ出している。
小さく叫び声を上げる姉。
祖母の体にすがる祖母の妹。足首をさすりながら涙声で俺に訴えかける。
「まだ暖かいねん!まだ暖かいねん!」
俺は・・・半ば呆然としながら祖母の脈をとった。呼吸を確認した。
周りでわめいている二人を諭し、救急車を呼んだ。



194 mosmac 04/06/15 17:40 id:TLW/dYGx
近所のかかりつけの医者を呼び、続いて救急車がやってきた。
その間も冷たくなりつつある体をさすり続ける二人。

俺はひたすら冷静だった。俺はこの瞬間の自分を今でも憎んでいる。

「もし助かってしまったらどうしよう。」
「介護をすることになったらどうしよう。」
祖父の姿がフラッシュバックした。
「呼吸と脈が止まって少なくとも10分は経過している。」
「助かっても脳に障害が残る可能性が高い。」
「助からないほうがいい」
「おばあちゃんもきっとそれを望んでいる。このまま死なせて欲しいって」
「助からないでいて欲しい!」
「死んだほうがいい!」

俺の脳裏はそれでいっぱいだったよ。
祖母の冷たい足首を両手で包みながら、小さな祖母の顔を眺めながら。
涙?なんで周りのやつらはそんなにわあわあ泣けるんだ?

俺は本当に冷静、いや冷酷だった。


195 mosmac 04/06/15 17:51 id:TLW/dYGx
町医者・救急隊員の判断でも、手遅れ、とのことだった。俺にとって幸いなことにな。
警察を呼び、死亡確認を取りながら祖母の布団を用意し、祖母がそこに寝かせられる姿を
ひとつ忘れていたことがあったことに気づいた。両親に連絡していない。
母方の祖母が亡くなったというのになんてことだ。早速国際電話を掛ける。
「お母さん?おばあちゃんが亡くなったよ・・・。」電話先で母が半狂乱になっているのをこれまた
冷静に聞いていた。

服を着替えに一旦実家に戻り、騒ぎの収まった祖母宅に再び戻る。
祖母のいなくなったキッチンに立ってみた。

コンロの上に、ホーロー鍋がおいてある。

すき焼きだった。

一口食べてみた。数時間経過していたからか、冷たくなりつつあった。
いつも俺たち好みの味にしてくれていた。うまい、旨いよ。めちゃくちゃ美味い。
でももう二度とこの味付けで食べられないんだ。でも美味い。すごく美味かった。
ひたすらほおばった。そのとき初めて嗚咽が込み上げてきた。
動物のように泣き喚きながら、ひたすら手づかみですき焼きを口に詰め込み続けた・・・。





196 mosmac 04/06/15 17:56 id:TLW/dYGx
ロクに今まで墓参りもしなかった俺が、毎年のように通うようになった。
いまも実家に帰るたびに仏壇に挨拶している。

10年以上たった今でもどうやって償えるのかを探し続けている。
俺が死んだら間違いなく地獄に落ちるだろう。
祖母が天国にいることと同じくらいに確かなことだ。

できれば直に謝ってから堕して欲しい。

本当に心からそう思っている。

長くなってごめんなみんな。 吐き出した。



197 mosmac 04/06/15 18:00 id:TLW/dYGx
最終カキコ。

介護疲れって本人が思う以上にあるみたい。
自分の周囲にそういう人がいたら、心得ておいてほしい。
ハリを失うとダメだから。
お疲れさん、って言って肩の荷がおりたら
本当にあっちに行っちゃう人がいるから。

大好きな人を一人ぼっちで逝かせるようなことだけはしないで。
せめて、せめて看取ってあげてくれ。


(コピペ)


・゜・(つд`)・゜・